冷え性
冷え性の原因と症状、冷え性解消のための漢方の改善法と対策、
そして、漢方治療法について述べます。
大別すると内因と外因との2つに分けられます。
内因としては、貧血、うっ血、水分の偏在、自律神経の失調、
ホルモン分泌の異常、新陳代謝機能の低下などがあります。
女性に冷え性の人が多いのは、女性ホルモンを分泌する器官が
骨盤内に集中しているからです。
月経や出産などで、骨盤内にうっ血しやすくなります。
自律神経の中枢は、ホルモンと密接な関係にあります。
ですからホルモン分泌の変動が激しい思春期、出産前後、更年期の女性は
とくに冷え性になりやすいのです。
外因としては、薄着、湿気、冷房、そして自然と相反する生活で
夜ふかし、すいみん不足、食事のかたより、身体を冷やす生野菜や果物、
甘いもののとり過ぎまたは医薬品ののみ過ぎなどがあります。
足腰が冷えると、内部性器が充血して
月経異常、子宮内膜症、子宮付属器炎、おりもの、
などの原因となり
卵巣機能不全、子宮発育不全や不妊症にもなります。
そのほか冷え症があると、各種の神経痛、関節リウマチ、腎炎、腎盂炎、
ネフローゼ、膀胱炎、腹痛、腰痛などの原因になったりします。
免疫力まで低下させますので、ありとあらゆる病気に関与するのです。
36.5℃・・・・健康体、免疫力旺盛
36.0℃・・・・ふるえることによって熱生産を増加させようとする
35.5℃・・・・恒常的に続くと
・排泄機能低下
・自律神経失調症状が出現
・アレルギー症状が出現
35.0℃・・・・がん細胞が最も増殖する温度
34.0℃・・・・水におぼれた人を救出後、生命の回復ができるギリギリの体温
33.0℃・・・・冬山で遭難し、凍死する前に幻覚が出てくる体温
30.0℃・・・・意識消失
29.0℃・・・・瞳孔拡大
27.0℃・・・・死体の体温 ( 「体を温める」と病気は必ず治る 石原結實 著より)
漢方医学は「寒熱」をとても重要視しています。
ひとくちに「冷え性」と言っても、「どこがどのように冷えるか」ということを
詳細に分別して、漢方医学的な病態生理をもって把握し
それぞれの病態に適合する生薬、または漢方処方によって対応しています。
乗り物に例えると、
「新幹線の駅でおろして、ハイあとはご勝手に帰ってください」 ではなく、
「駅でおりたあと、電車に案内して、さらに車で自宅まで送り届ける」といった具合に
とっても懇切丁寧です。
厚着をしないといられないくらいの身体全体の冷え。
これは代謝が緩慢で、エネルギーを燃焼する力が低下しています。
食事量の少ない人、代謝がゆっくりした甲状腺機能低下(橋本病)のような人、
血液の流れの悪い人など。
−単純に身体をあたためる漢方処方ではなく、
基礎代謝を高めるような漢方処方を選びましょう。-
そして意識的に身体を動し、温める食べものを選んで下さい。
以下のような身体を冷やす食べものはへらしましょう。
〇冷たく甘い飲み物・・・コーラ、ジュース
〇南方産の食べ物・・・・バナナ、ミカン、メロン、トマト、キュウリ、スイカ
〇生野菜
〇その他、白砂糖、化学調味料、化学薬品などの白いもの
パン、バター、マヨネーズ、クリームなどの柔らかいもの
(食べものの寒冷温熱については「東洋医学の知恵」をご覧下さい)
自律神経の異常によって起こるケースが多い。
−単純に身体をあたためる漢方処方ではなく、
自律神経のバランスを整えるような漢方処方を選びましょう。
胃腸の弱い人、胃潰瘍、十二指腸潰瘍になりやすい人などは手足が冷たいものです。
また血流量の少ない人や、漢方で言う「瘀血」のある人でも手足の末端が冷えます。
骨盤内臓器の異常やうっ血、または「瘀血」や「水毒」によるものが多い。
ですから女性に多くみられます。
血行が悪い状態で、腰が冷える。下腹部が冷える。脚が冷えるといいます。
脚といっても、ヒザ頭が冷たい人、脹脛(ふくらはぎ)
または足首の冷たい人といろんなタイプがいます。
−「瘀血」や「水毒」そして下半身をあたためる漢方処方を選びましょう。
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギーの人や
生理不順、子宮筋腫、子宮内膜症、不妊症などの婦人病、
皮膚病、胃腸病、頭痛、肩こり、腰痛、神経痛などの人は、
中からも外からも身体を冷やしていることが原因であったり、
または冷やすことによって症状を悪くしていることが多いのです。
身体の芯から冷える人、身体の外(体表面)が冷える人もいます。
または上熱下冷(足は氷のように冷たく、顔や上半身はとても熱く)で汗をかく。
といった状態もあります。
カゼをひいて背中が寒かったり、いくら風呂に入ってあたたまってもすぐに冷える人。
また、へんな場所だけが冷えてしかたがない、といった人もいます。
漢方の薬物学である「本草綱目」では、食品を含めて、
すべての天然物を「寒・涼・平・温・熱」といったように
温める薬と冷やす薬とに分けています。
さらに、相乗効果を発揮する生薬の組み合わせが体系づけられ、
そして漢方処方として様々な冷えの状態に対応できるようになっています。
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◇苓姜朮甘湯
◇当帰芍薬散
◇当帰四逆加呉茱萸生姜湯
◇人参湯 ◇五積散
◇芎帰調血飲第一加減
◇大黄牡丹皮湯
など
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症状の重い場合には煎じ薬をお勧めしていますが
そうでもない場合には錠剤の漢方薬や、
お茶に混ぜて飲める液体の松葉エキスをお勧めしています。
詳しくはお問合せフォームから、お気軽にご質問下さい。
「隠れ冷え性」とは?
女性だけの問題ではない。「人類の80%は冷え性」と言う説も |
「冷え性」と聞いて自分は違うと言う方もおられるでしょう。
「冷え」とは、単に「寒い」だけではありません。
「寒さ」によって体のバランスが崩れ、
「体内に熱が偏在する状態」のこともあるのです。
「足がいつもポッポして、冬でも布団を蹴飛ばしている」
「顔が火照って苦しいほどだ」・・・実は、それも「冷え性」なのです。
たとえば、不快なほど体表が火照っている時、
実は身体の芯は冷えている、ということもあります。
自覚せずに体調を悪くしている「隠れ冷え性」も多いと言われ、
「人類の8割は冷え性」という医学者もいるほどです。
冷え性・・・そのとき、体内ではどんなことが生じているのでしょう。
まず、「寒さ」に対して生体機能を維持しようとする身体は、
温かい血液を身体の中心部へ集めます。
これによって手足が冷たくなりますが、(血行不良を伴う血液=熱の偏在)
その状態が慢性化すると自律神経が変調をきたし、
「血液を必要なところに送る」という本来の働きが行えず、
組織は血行不良状態になります。
「冷え性」=「血行障害」なのです。
さらに、「いつも手足が冷たい」という不快感が新たなストレスとなり、
それが自律神経の乱れ・血行不良をますます慢性化させる
という悪循環が生まれます。
ここで、「冷え」を増長させるのが「水」です。
「冷えによって水分の代謝が悪くなる」、
あるいは「体内に偏在する余剰水が冷えを増長する」、というように、
「冷え」と「水」はもちつもたれつ関係で症状を泥沼化します。
「風邪をひきやすい」「膠原病」「過喚起症候群」「リウマチ」「糖尿病」・・・
冷えについて書かれた書籍や雑誌では、
これらの病気が「冷え取り」によって改善されたという報告が載っています。
「身体を温める」ということで、どれだけの病が良くなるのかに驚かされます。
裏返せば、「冷え」はこれらの病気の原因や誘因になっていると考えられ、
多くの病は身体の「冷害」であるといえましょう。
「冷えを取る」ことで、思いもかけない効果をあなたも実感するかもしれません。
詳しくはお問合せフォームから、お気軽にご質問下さい。
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